理事長の新関氏は、以前からケーブルテレビ等で漬け物教室の講師を務めていたが、広く一般の人々に山形の伝統的な漬物の製造方法を教え、製造販売することで地域食文化を継承したいと考えていた。事業化にあたり、社会的な信用度を高めるため、同じ思いを持つ家族や親戚を募って企業組合を設立した。組合員は、全員家族・親戚であり、以前から漬物についての知識を教えてもらっていた人達で、共通の目的意識を持って事業に臨んでいる。
　事業内容は、理事長の新関氏がケーブルテレビの番組や公民館などを会場に開催される漬け物教室の講師を務めて、伝統的な漬物の製造方法を伝授することと、製品を農産物の直売所やＪＡ青空市等の会場で販売することである。製品は、無添加を基本とし、食品の安全性には細心の注意をはらっている。また、インターネットのホームページでも、漬物に関するレシピや情報を提供するとともに、加工品等日持ちのする商品については直接販売している。
　初年度は、目的とする売上高を達成することができ、若干ではあるが利益も計上できた。理事長は、以前から漬物教室の講師として地元では知名度が高かったが、組合設立によって一層社会的な信頼度も向上し、販路の開拓など営業活動を展開しやすくなった。組合員自身の意欲も向上しており、漬物に対する興味や探究心も高まり、生きがいにもなっている。
　今後は、一層の販路の拡大と、商品構成の充実が課題となっている。限られた人員で運営されている組合なのでどうしても日々の業務に追われてしまいがちだが、中長期のビジョンを明確にして安定的な売上と利益を確保するように事業を展開することが望まれる。