組合名 | 米沢織物工業組合(米沢市) | ||
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設立 | 昭和45年5月 | 組合員 | 113人 |
出資金 | 5,787万円 | 業種 | 織物製造業 |
地区 | 米沢市他2市5町 | ||
組合従業員 | 9人 | 専従理事 | 1人 |
〜産地の生き残りを賭けた事業が産地活性化に大きく寄与〜
地域産業集積活性化法の認定を受け、米沢織物円滑化事業を推進、素材提供型産地からマーケットインへの対応可能な提案型産地への転換が図られつつある。
【事業活動の背景】
当産地では、消費者の呉服離れの進展、組合員の後継者難、広幅地の伸びに伴う後加工の増大、輸入品や他産地との競合等織物をめぐる大きな変化・問題が生じ、組合員の経営環境が悪化していた。その結果、組合員は売上高の減少、収益の悪化、技術者の不足等に悩むとともに、後染めの拡大により紋彫・染色企業の転・廃業が増加し、産地内の分業構造も変化していた。
【事業活動の概要】
平成6年に地域産業集積活性化法の認定を受け、米沢織物円滑化事業を5カ年計画で推進している。事業内容は商品開発と人材育成を主な柱とし、組合員も積極的に事業に参加している。呉服では振り袖やカラフルな若向き男性のトータルファッション着物の開発を行い、広幅では素材から最終製品に至るまで手がけ、市場での発表を行うとともに、後加工ビーカー染め・反染めの研究などを実施している。特に、デザイン開発・技術面の研究については組合が中心的な役割を果たしている。
【成果】
平成6年からの5ケ年事業で現在も推進中であるが、呉服関連企業の業績の立ち直り、開発スタッフの育成、収益力の向上等の成果が生まれている。また、問屋・小売店側から開発商品の優秀さが高く評価され、素材の提供型産地からマーケットインへの対応が可能となり、提案型産地への脱皮につながっている。産地活性化のための当事業の重要性が組合員に浸透・理解され、多くの組合員の積極的参加による協力が得られたことが成功の第一要因である。また、組合の定常的活動における適切な事業計画と実施、資金的裏付けも成功要因としてあげられる。今後は、QRへ向けての体制確立、若者に魅力ある産地作りが課題となる。
《詳細内容》
【1】実施事業の概要(平成8年度実績)
事業名 | 事業内容・事業実績 |
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共同事業 | 生糸の共同購入(23人)、サンプル整経機の共同利用(86人) |
商品開発宣伝・販売 | 新作発表会及び宣伝会の開催 14回、消費者宣伝事業 3回、海外見本市の開催 2回 |
労務対策事業 | 新規労働者確保対策事業(補助金支給900千円) 一日ドッグ325人、目標休日カレンダー作成 |
金融事業 | 手形貸付、割引、信用保証斡旋など 123名 |
【2】組合員の経営環境
- ・個人消費の不振、輸入攻勢などの影響で、産地としては厳しい環境となっている。
- ・当産地は県内の織物産地として最大の産地であり、平成8年度10,039,000千円の生産高を誇っている。内訳としては服地68%、呉服関係24%、輸出5%、その他3%となっているが、生産高は減少の傾向にある。
- 呉服関係織物:30
- 小物・グッズ関係:5
- 婦人服地:30
- ネクタイ・マフラー:5
- 呉服・広幅関係下請:43
雇用従業員数人 | 0人 | 1〜5人 | 6〜20人 | 21〜50人 | 51〜100人 | 101〜300人 | 301人以上 | 合計 |
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組合員数 | 46 | 26 | 27 | 14 | 113 |
【3】組合の沿革
- 昭和29年に非出資組合として設立。
- 昭和45年5月、出資組合へ改組。この時点で事業内容、名称など全面的に見直しを行った。
- 平成6年度より米沢織物円滑化事業へ積極的に参加し取り組んでいる。
【4】諸会議等の状況(平成8年度実績)
理事会 | 定例会 12回 | 随時 2回 | |
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諸会議 | 委員会・部会の数 7 | 委員会・部会の開催回数 随時 | その他の会議の数 0 |
青年部 | あり | ||
女性部 | なし | ||
賛助会員制度 | なし |
【5】ポイント(事業活動の要点と成果)
産地集積活性化法の指定を受け、連合会が窓口となり「米沢織物円滑化事業」を推進。事業内容は商品開発、人材の研修を柱としている。活動の成果として、組合員として呉服部門の組合員の立ち直り、収益力の向上が。組合に対しては素材提供型の産地から、マーケットインへの対応可能な、提供型産地への脱皮、開発製品の高い評価、産地のネットワーク化、人材の能力向上などがあげられる。
【6】事業の要点
産地として呉服離れの進展、後継者難、後加工の伸び、輸入品・産地間の競合、人材の確保難等大きな変化・問題点が生じていた。その結果、組合員では売上高の減少、収益の悪化、技術者不足をもたらしている。組合に対しては、後染めシェア増大に伴う紋彫、染色企業の減少による分業構造の変化小規模事業所の廃業、高年齢化をもたらしている。
産地集積活性化法の指定を受け、米沢織物協同組合連合会が窓口となり、「米沢織物円滑化事業」を5カ年計画で推進している。事業内容は商品の開発、人材の研修を主な柱としている。
活動として、呉服では振り袖やカラフルな若向き男性のトータルファション着物の開発、広幅では素材から最終製品まで手がけ、東京・大阪市場での発表、後加工やCAD技術の研究、ビーカー染め、反染めの研究が完了し、設備導入の段階までこぎ着けたこと、さらによりネットワークが強化されたことで産地活性化に大きな効果をあげている。
「米沢織物円滑化事業」の会長は当組合の理事長が兼務、組合員も事業に積極的に参加している。
特に、デザイン開発、後加工技術、CAD技術の推進については、当組合が中心的役割を果たしている。資金的には県・市の補助を受け財政的基盤も確立している。
当組合の広幅部・呉服部が、「米沢織物円滑化事業」と共同歩調をとった年度事業計画を立てて取り組んでいる。活動のための施設として「米織会館」を活用している。
【7】成果と成功要因
組合員に与えた成果として
(1)呉服部門の組合員の業績は立ち直りをみせている
(2)開発スタッフの育成につながった
(3)新製品開発、新技術習得により受注開拓が容易になった
(4)収益力の向上が期待できる
等があげられる。
組合に与えた成果として
(1)素材の提供型産地から、マーケットインへの対応が可能となり、提案型産地としての脱皮につながった
(2)問屋・小売店側から開発製品の優秀さが評価され、産地としての評価が高まった
(3)産地全体の人材の能力向上が図れた
(4)産地のネットワークが強化されたこと
(5)組合員相互の結束が高まったこと
等があげられる。
- ・産地活性化のための「米沢織物円滑化事業」の重要性が組合員に浸透、理解され協力が得られたこと。
- ・組合の定常的活動においても、広幅部会・呉服部会を中心として当事業と連動した計画を立て、共同歩調をとったこと。
- ・県・市から当事業へ補助を受け、財政的基盤が確立されたこと。
【8】所見
当事業は5カ年計画の途上にあるため、計画の完全実施がまず当面の基本方向である。これに関連して産地としては、
・QRへ対応できる、マーケットイン型、提案型の産地へ。
・やりがいのある仕事を提供でき、職場環境にも配慮した、若者が魅力を感じる産地へ。
・関連業種との連携強化。等に取り組むことが必要と考えられる。